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「助かったよ」
と、彼は私には言った。
路地裏で腹を刺されて動けない彼は、ヤクザの組員だった。
その道に入って、その当時で5年。
親の後ろ盾もなく、カネもなかった。
でも、大きな仕事を成功させて異例の若さで幹部候補になった。
彼を助けて、部屋を貰い、男を知って、庇護を貰った。
庇護は名前。
庇護の名は『女渦』
彼の名はマサキ。
私と出逢って間もなく、役職無しの幹部になった。
それっぽっちの肩書の女が『女渦』になるのは異例だった。
でも、ちゃんとそれにはからくりがあった――――。
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