第一話 joka (女渦)

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「助かったよ」 と、彼は私には言った。 路地裏で腹を刺されて動けない彼は、ヤクザの組員だった。 その道に入って、その当時で5年。 親の後ろ盾もなく、カネもなかった。 でも、大きな仕事を成功させて異例の若さで幹部候補になった。 彼を助けて、部屋を貰い、男を知って、庇護を貰った。 庇護は名前。 庇護の名は『女渦』 彼の名はマサキ。 私と出逢って間もなく、役職無しの幹部になった。 それっぽっちの肩書の女が『女渦』になるのは異例だった。 でも、ちゃんとそれにはからくりがあった――――。
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