第一話 joka (女渦)

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「ナイフとハサミと剃刀が欲しい」 「与えると思ったのなら、病院に連れて行こう」 用途はご想像にお任せします。 カレンダーにバツを付け始めて、今日で丁度90日なので。 そろそろ、お暇をいただきたくて、浮世から。             (辛い事が多い世の中) 「脇の毛も剃れない」 「永久脱毛済みだろ。生えているの見た事ねえ」 チッ、エステなんてやめときゃ良かった。 マサキがヤレヤレって五月蠅いから、したけど。 お陰で、キレイなのは脇だけじゃない。 Y、I、Oまでツルツルだ。 「なぁ、ナイフとハサミと剃刀で何がしたいんだ?」 「うん?ナイフで刺して、ハサミで抉って、剃刀で裂きたい」 部屋で立ち話をしていたのだが……。 言い終わらぬうちに、床に倒され、馬乗りになられた。 「誰を、どうして?」 「ジョーカーを。緑の血が流れてないか、見てみたい」 殴られた事はなかった。 でも、今日は、これはさすがに殴って来ると思っていた。 「そっか、そう言う事なら」 「えっ?」 青空色のテラテラしたYシャツに黒の革パン。 乗り掛かられると、腰のアクセがジャラジャラ鳴った。 何をするかと思った。
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