第一話 joka (女渦)

2/25
前へ
/122ページ
次へ
人は私を『女渦(ジョカ)』と呼んだ。 私の名を知る者は、浮世の恐れを知る者だ。 『ソレ』は チカラだったり カネだったり ボウリョクだったり ケンリョクだったり 自分より強者がいる事がアタマの片隅から離れない 哀しい奴なら誰でも知っている。 時にそれは『最強』であり『災厄』であった。 私は、多分、『災厄』の方だ。 『女神』と崇める者いれば、『蛇』と蔑ずむ者もいた。 「なぁ、一発ヤラせてくれよ。そしたら、悪い様にはしねえ」 その男は、言った。 秋のにわか雨に濡れる私の髪に触れながら。 「札付きだよ、私。女渦(ジョカ)を知らないの?」 「知っているよ。首から下が蛇の女神だろ? 俺、そう言うの好き。なあ、俺の部屋行こ。お前何処から下が蛇なの?」 最初はたただ面倒臭いと思った。 でも、そんな生易しいモノじゃなかった。 私の異変に気付いた取り巻きが男ににじり寄る。 そして、殴りかかって行った。 後に残ったのはボコボコにされた私の取り巻き達。 男はワタシを抱き上げた。 「お前は、魔性の女だ」 「……」 『 褒めてもいるし、憐れんでもいる』と男は続けた。 その日。 ワタシは、予期せず囚われの道を歩む事になった。 三人の出会いは、災難か? 救済か? イカれた情報屋組織のボス、JOKER (拒否権のない、飼い殺しと××) 極道に嫁いだ姉を亡くしたヒロイン、女渦 (不感症だが飛びきり男に好かれる) 『秘密』を抱えた女嫌いの極道の男、マサキ (罪を隠したまま育む禁断の愛) 『この愛は、イタイ。でも、悪くない』
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加