第一話 joka (女渦)

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雪が降って来た。 この部屋に初めて来たのが秋だったのに。 今はもうすぐ冬も終わる2月の後半になっていた。 「……何をしている」 「生きているのに、飽きて来た」 首に一生懸命裂いて繋いだシーツの紐を絡ませていた。 何で、気付かれたのか分からなかった。 絶対、戻って来ない様に計画したのに。 綿密に行動パターンを把握して挑んだのに。 まるで、ずっと此処に居て私の事を見ていた様に。 「死んだら、ダメだ」 「それを、ジョーカーが言う? 私の動機100%が?」 そう言い切るのは、ちょっと嘘。 ホントはちょっと、辛かったんだ。 会えない時間で気付いた事だが。 私は『マサキ』が好きだったんだ……。 だから、『マサキ』以外は嫌だったって、気付いてしまった。 まぁ、一番、嫌なのは『Joker』だけどね。
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