第二話 Joker(ジョーカー)

11/17
前へ
/122ページ
次へ
「イタイ……お願い、もうやめて」 「悪い。思いっきりやっちまった」 気が付くと、女の手首を捩じ上げていた。 俺にカラダを繋がれているからじゃない。 普段は『他の事を考えながら女を抱いたりしないのに』な。 バッドマンのジョーカーが、俺の通り名の由来。 俺のゴッドファーザー(名付け親)は、俺の最初の女。 出逢った翌年、借金を苦にした両親とダチと一緒に逝っちまった。 「不感症なの」 「抱いてりゃ分かる」 他の事でも、お前の事なら何でも知っている。 俺は知っている。 おまえは『ゆき』だ。 外気に触れるとたちまち溶けちまう。 白くて、柔くて、儚い雪だ。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加