第一話 joka (女渦)

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「イタイ……お願い、もうやめて」 「悪い。思いっきりやっちまった」 ―――― 暴力は分野外だ ―――― 私は手荒に抱かれてよがる程、底辺の暮らしはしていない。 奉仕もない、愛もない、心もない。 そんな営みだけでも、充分、男は悦んで来た。 それで、手に入らなかったものは、今の所ない。 だから、気持ちイイ必要なんてなかった。 勿論、気持ちイイ振りする必要もだ。 「不感症なのよ」 「抱いてりゃ分かる」 ――― じゃぁ……何で抱く ―――― あっ、そっか。 ヤッてりゃ、気持ちがイイからか……。 無感動に抱かれる私の上で、嘲笑いながら、私を抱く。 『私の全てを手に入れた』みたいな顔をするのは止めて。 私は、誰のモノでもない。
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