オーロラ、目に見えないものを観る

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 写真や映画、果てはアニメでもオーロラと言えば手元の写真に写っているようなはっきりした色を持っているもののように紹介されている。 でも今見たように現実は違った。 肉眼では空に浮かぶ淡い色の揺らめきにしか見えないのだ。 目に上手く映らない揺らめきの正体はカメラで撮って初めて分かるようになる。 確かに写真に映る光の帯は美しく幻想的だが、遠隔地に住み、映像の中でしかオーロラを観たことのない人には写真の中にしか現れないその正体はほとんど知れていないのだろうと思った。  現実のオーロラも、写真の中のオーロラも、どちらも曖昧なんだ。 ゆらゆらと揺らめいて、本当の輪郭を上手く掴めない。  僕はシャッターを何度も切りながら星空に浮かぶ靄を見つめた。 いつか訪れるかもしれない、オーロラの揺らめきが像を結ぶ瞬間を見逃さないように。 2016.11.18-19 in YellowKnife.
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