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そちらに目を凝らす。
それでもやはり最初は何があるのかよく分からず僕は戸惑っていた。
他の観光客も同じで口々に「どこ?」と視線を星空へ巡らせていた。
「ねえ、君、あそこら辺を撮ってみてよ」
ガイドの大男はそんな僕らの反応を見慣れているみたいで、カメラを持ったままの僕にそう指示した。
僕は言われるがままに北の空に三脚に固定したカメラを向け、レリーズでシャッターを切った。
シャッター時間は4秒、ISO感度3200、F値を最小の2.8。
オーロラを撮るために事前に調べて随分前に設定していたからその動作は他の誰よりもスムーズにできた。
シャッターが切れる音がした後、現像処理がカメラのシステムの中で行われ、さらに4秒後に画像が小さな液晶ディスプレイに表示される。
「あっ、あった!」
僕が声をあげると他の観光客もわらわらとカメラのディスプレイを覗きに来た。
そこには夜空にぼんやりと浮かび上がる緑の帯。
何故か分からないままにもう一度シャッターを切って空を見上げる。
目を凝らして今写真に写った緑を探す、が見つからない。
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