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そして最後に、谷口がもう一度真琴に確認する。
「さあ、この中から賀川先生の『いいな』と思うのは、どれ?」
皆の注目も一身に集まり、真琴も答えざるを得なくなる。真琴がおずおずと一つの写真を指差して、
「……これ、かな…?」
と、つぶやくと、その一言に谷口はニッコリと微笑んだ。
それから、食事が終わり支払いをする時、石井と谷口と中山とが化粧室を使いに向かった。
先に支払いを済ませた真琴が、レストランの外へと出ると、時間を置かず理子が出てくる。
気まずい雰囲気になる前に、何か話題を持ち出して理子の気持ちを紛らわせようと、真琴が考えを巡らせていると、理子の方から口を開いた。
「まだ夜は寒いですから、あんまり体を冷やさない方がいいですよ。大事な赤ちゃんですもんね」
「……ありがとう。そうね、気を付ける…」
理子の優しい言葉にホッとしながら、真琴も素直にお礼が言えた。
「男の子か女の子か、もう判ってるんですか?」
「うん…。男の子なのよ。だからかな?ものすごく活発に動くの」
「男の子ですか…。古庄先生に似てたら、やっぱりイケメンになるんでしょうね」
「…………!?」
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