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「…どれも素敵だとは思うけど…、私は、こういうの、あんまり分からなくて…」
「そっか、賀川さんは、旦那様からもらったその指輪が一番のお気に入りなのよね」
石井からそう突っ込まれると、真琴はますます困ったように笑顔を作った。
「そういえば、賀川先生。その指輪は婚約指輪よね?結婚指輪はしないの?」
そして、中山からのこの指摘に、いよいよ真琴は窮してしまう。
結婚をする前に、こういうものはきちんと準備するものなのだろうが、そんなことを考える時間もなく入籍してしまっていた。その後も、婚約指輪を買って安心したのか、古庄は何も言い出さないし、真琴もそんなことには頓着なかった。
「…バタバタしてたから、まだ買ってなくて…」
とりあえずそう言って、ごまかすしかない。
「そうなんだ。それなら、これ。参考にしてみて。賀川先生が実際に着けるとしたら、どれがいいと思う?」
と、谷口はまた新たな写真を数枚テーブルに並べる。今度は先ほどとは違って、少し地味な結婚指輪だった。
何も言わず写真を眺めるだけの真琴に引き替え、友人たちは一つ一つを品評しあい、真琴に似合うもの、今の婚約指輪と重ね着けが出来るものなど、アドバイスしてくれる。
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