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「私もずいぶん前に気が付いてたわ。古庄先生に婚約指輪を買う店を相談されたの。それで、間を置かずに賀川先生が指輪してるじゃない?賀川先生は一宮ちゃんに気兼ねして真実が言えないのかな…って思ってたんだけど、そうか、校長先生の差し金だったわけね…」
「……はぁ……」
中山が驚いた顔のまま、溜息をついた。いろいろと状況を説明されても、まだ自分の中の驚きを、なかなか処理できないみたいだ。
「古庄くんや賀川さんのクラスの生徒たちも、かなり気が付いてるみたいよ。本人たちには逆に気づかれないようにしてるみたいだけど…」
「そうそう。それでその生徒たちが、すっごいコトをしようとしてるのよ。楽しみよね」
石井と谷口は、まるで自分のことのように嬉しそうに話をしている。中山も同じ眼差しになって、お腹の大きくなった真琴を見つめた。
果たしてどうするのが一番いいのか…。真琴には分からなかったが、理子の目の前に回り込んで、頭を下げた。
「今まで本当のことを隠してて、ごめんなさい…。一宮先生が古庄先生を好きなこと知ってて…、嘘ついてて…、ひどいことしてると思ったでしょう?」
面と向かって謝られた理子は、少し涙が込み上げてきたのか、唇を引き結んで目を瞬かせた。
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