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「…事情があるって古庄先生も言ってたし…、賀川先生がやむにやまれずそうしてたことは解ってます。…それに、賀川先生だったから、気持ちに踏ん切りがつけられたんです。いつも私を助けてくれる優しくて大好きな賀川先生だから…、古庄先生も好きになったんだって…」
「……ありがとう…。そう言ってくれたら、胸のつかえが下りたわ…」
真琴はもう一度、理子へと頭を下げた。
頭を下げながら、涙が溢れてくるのが抑えられなかった。
「これが…、賀川先生じゃなくて平沢先生だったら…、絶対に納得できなかったと思うし、古庄先生のことも嫌いになってたと思いますけど」
息を抜きながら理子が、少しおどけるようにそう付け足すと、真琴も涙を拭って小さく笑った。
「ごめんねー。お待たせしてしまって」
谷口の声がして、3人が合流する。
「賀川さん、お腹冷やさないように。風邪も引かないようにしなきゃね。私の友達で、出産直前に風邪引いちゃって…おなかの赤ちゃんも感染して…結局死産だった人もいるから…」
石井が真琴を心配して、そう助言をしてくれた。すると、それを遮るように谷口が口を出す。
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