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「………」
「………」
うわぁ、すまんなぁ……なんか、スッゴいかわいいぞ。パンダ。
そろそろと上げた足が降り始めた。と、いうことは、今目を離したらさーっと走って行くな。
それが分かるだけに目が離せない。
私が視線を外さないからパンダも当然外さない。
先にそらした方が負けな気分になっている。
お前もかい? パンダ?
「うん、ごめん。見すぎた」
先に負けたのは私だ。
思わず謝りながらニヒャっと笑ってしまった。
「うな~ん」
視線をこちらに向けたまま、まるで『何やねんな、もう』みたいに聞こえるひと鳴きを残してから、パンダはサササーッと行ってしまった。
あれは昔からいる子なんだよ。
黒と白の本当にパンダ模様のスレンダー野良猫。
もう何代も続いてるのに、数年に一度見かける子猫も皆パンダ。
優性遺伝なのかね?
見つける度に嬉しくなる。
あ、今年も子猫パンダが生まれたか、とホッとする。
さらにこんな遭遇をすると楽しい。
無表情に見つめあい、というかにらみ合い?
『見たことある奴だ。でも何だ? なぜそんなに私をガン見するのさ』
そんな台詞を脳内でパンダに言わせてみると、これがまた楽しいのですよ。
さて、では私も帰りましょう。
明日も仕事なんだからね。
了
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