この先もずっと、あなたと。

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その日の社員食堂はいつも以上に賑わっていた。 いつものようにIDカードをかざして社食に足を踏み入れてみたものの、さきほどから周囲の視線が私へと向けられているような気がするのは私の思い過ごしだろうか…。 混雑した社食を掻き分け、なんとか定食を注文できたのはいいけれど……さて、どこで食べよう…。 両手でトレーを持ちながら、どこか空席がないか堂内を見渡していると、 「葉瑠!こっち!」 私を呼ぶ高らかな声が耳に届いた。 すぐに視線を向けると、笠原奈緒子(かさはらなおこ)が満面の笑みを浮かべて、おいでおいでと手招きしている。 奈緒ちゃん…! 彼女の存在が嬉しくて、私も笑顔で手を振り返した。 笠原奈緒子は本社経理部の社員だ。 普段は『奈緒ちゃん』と呼んでいる。 着任仕立ての頃、彼女から声を掛けてくれたことがきっかけで私たちは親しくなった。 とても気さくで面倒見のいい彼女は初対面以降もお昼に付き合ってくれたり、ご飯に誘ってくれたりと、いつも私のことを気に掛けてくれて、今では社内で一番の仲良しだ。   奈緒ちゃんの方へ急ぐと、彼女は「一緒に食べよう!」と、前の席に腰掛けるように促した。 「ちょっと聞いたよ! ついに婚約宣言したんだって!?」 椅子に座り、軽く深呼吸した瞬間、彼女は興奮状態で訊いてきた。 目はキラキラ、鼻はヒクヒクという感じだ。
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