この先もずっと、あなたと。

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「なにあの二人……。甘い…甘すぎる…!」 「楢崎主任、白河さんの前だとあんな甘い笑顔になるんだ…。 くしゃって笑うところ初めて見た…。 いいなぁ…。あんなに大事にされてる白河さんが羨ましい…」 私たちのやりとりを社員が顔を真っ赤にしながら見ていたという事実を耳にしたのはもう少し先のこと。 「そろそろ行こっか」 結局、今週末の計画はお持ち帰りだ。 でも、またひとつ、帰ってからの楽しみができた。 「うん!」 明るく返事をして席を立つと、軽々とトレーを持った彼がまとめて片づけをしてくれた。 そういうさりげない優しさも、家にいる時と全く変わらない。 厨房から戻って来た彼にありがとうとお礼を伝えると、彼は何も言わずに微笑んでくれた。 誰も入る隙がないくらい、今は私たちだけの甘い時間だ。 「行こう」 互いに見つめ合いながら微笑むと、彼の合図とともに私たちは歩き出した。
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