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そしてもうひとつ。その時の僕は大学の卒論に就職活動とかなり行き詰っていたのだ。今まで特に挫折することもなく生きてきた僕にとってそれはとてつもなく大きな壁に見えていた。だから僕は、『誰か』を求めていたのかもしれない。僕の話を聞いてくれる誰かが。
「いいよ、ここに住めば。その代わり、ちゃんと恩返ししろよ」
「任せろ」
ヤツの任せろという言葉はなんとも頼りなく感じたが、それが無性に心地よかった。
「お前が話し相手になってくれたからなのかはわからないけど、あのあと卒論も就活もうまくいったんだよな。これからも恩返しよろしくな」
そいうとヤツはあの日のように
「にゃー」
と一言返事をした。
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