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猫田 猫(ねこた ねこのー18歳♂)は一見人懐こそうである。
若干猫背で元の背丈より3センチ程低く見える他、肉の付きにくい体質故手足はひょろりと頼りなく、常に弧を描く目口が威圧感なぞ露とも滲ませないのがまた近寄り易さを醸し出していた。
しかし、まあ、見た目がそれを裏切らない確証にはなり得なかったと言う訳で、猫は絶賛街の不良共と喧嘩中だった。
殴られれば避け、蹴られれば往なす。
鉄パイプや金属バットなど、今のご時世一体どこから入手したのかと聞きたくなるような武器を以てすら、誰1人として猫に傷を負わせる事は出来なかった。
「うーんお兄さんら、もうちょいガタイ良けりゃ相手のしがいあるんやろうけど」
間近で源造を見続けてしまっている猫の目は肥えている。男であれば、大柄であれば誰でも良いという訳ではない猫には並々ならぬ性趣向(タイプ)への理想があった。
「チィッ! ちょこまかと逃げやがって」
「上半身に比べ弛んだ太腿、減点やねぇ」
大きく蹴り上げた左脚を、あっさりと避けられた挙句ハッシと脇に抱えられ、内側から腿を撫で上げられた不良は声にならない悲鳴を上げる。その際大きくバランスを崩し猫に手を離され呆気なく尻餅をついた。
「テメェ何しやがるっ」
「拳が歪、大きぃ掌が台無しやわ」
仲間に起こった事態を飲み込めず、単調に殴りかかってきた不良その2の拳をあっさりと受け止め、握り込まれた五指を解し自らの掌を重ねる。
ギョッとしたその2が後ずさる動きを利用して軽くその腕ごと押し、足払いを掛ければ腰を強かに打ちつけた様だ。
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