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猫田 猫(ねこた ねこのー18歳♂)は休日デート中である。……とまあ、そう思っているのは猫だけなのだが。
「ゲンゾォ、早よ早よぉ! こっちも撮ったって!」
「坊、はしゃぎ過ぎや……」
猫の母、邦美が経営するキャバクラ『黒猫』に出す酒類を、贔屓にしている酒屋から直接卸してもらえるよう定期的に挨拶に伺っている、今日は源造の仕事であるソレに付いてきたという訳だ。
2人きりの車内、多少じゃれついても振り払われない人通りの少ない道、好きな男と一緒に休日を過ごせるというだけで嬉しいのに、今日は一段と源造とイチャつける!
テンション上がりまくりの猫は、酒屋への挨拶が済んだ後、強請って近場の大きな公園へ来ていた。
この公園というのがまた猫のお気に入りの場所の一つで、飼い・野良に関わらず猫の溜まり場になっているのだ。
猫好きの猫は一匹一匹と触れ合いつつ源造に写真を撮ってもらっていた。
「全く、18にもなってこない小こい生き物にだらしない顔しよって……」
「やって可愛えぇやん? 可愛えぇは正義やで! ……もっちろん! 俺の一番はゲンゾーやけどなぁ」
「へぇへぇ……ほな坊撮るで?」
チーズ! と茶トラの猫を抱えて満面の笑みを浮かべてみせる猫に嘆息しつつも、望み通りシャッター(携帯のだが)を切る自分は、結構な親バカであると源造は自覚していた。
だからこそ、猫に寄せられる好意には苦々しい思いをさせられるわけだが。
「最後にゲンゾーも撮ろぅや。カタクリ!こっち来ぃ」
先日拾った右前足だけ白い黒猫は、紆余曲折を経て『片栗』と命名されるに至った。
『黒猫』の従業員の1人、ミィナ曰く、『ドジして片足だけ粉に突っ込んじゃったみたい』と。
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