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猫田 猫(ねこた ねこのー18歳♂)は高校2年生である。
中学校卒業後、1年間母邦美の経営するキャバクラを手伝っていた為年齢と1学年ズレているが本人は大して気にしていない。
気にしていない為、今日も彼は学生らしく委員会活動に励んでいた。
「幸ちゃーん、そっちは数おうとる(合ってる)?」
「は、はいっ……包帯、絆創膏、バッチリ、です」
「こっちも消毒液、ガーゼ、テーピング、おうとるなぁ。よっしゃ、朝の委員会お終いやぁ」
同学年の咲田 幸(さきた さちー16歳♀)は保健室の備品チェック票を猫に手渡し、今日もお疲れ様ですと頭を下げた。
「おん、お疲れ様やで、にしてもジョーちゃんが来ぉへんなんて珍しいな」
「城嶋君、いつも朝早いですからね」
二人と同じく保健委員である城嶋 譲(じょうしま ゆずるー17歳♂)の名を出して、二人は顔を見合わせた。
「まぁあの子、ああ見えて不真面目やからね。流石に後2回サボったらセンセに報告やわ」
「え、猫田委員長、あと2回までは許しちゃうんですか?」
彼女は元々猫以外のクラスメイトにも敬語気味で、猫が年上だからという理由で変に気を使わない貴重な級友である。
「俺も大概真面目とちゃうし。ジョーちゃん今、後輩指導もしとるみたいやしね。多目にみたるわ。勿論、幸ちゃんもサボりたなったらゆーてや?」
ヘラヘラと笑った猫に困ったような微笑みを返し、取り敢えず朝の備品点検は終わったので教室に戻る事にした。二人はクラスも同じなのだ。
ーーガラララッ
唐突に、無遠慮な音を響かせスライドされる保健室のドア。二人は当然視線をそちらに移し、先程まで口にしていた同級生の不機嫌MAXな表情を見つける事となった。
スッと通る鼻筋とパッチリとした二重瞼に縁取られた艶のあるアーモンド形の目が、眉間に皺を寄せている為酷く歪んでいるが、それでも尚彼が美青年である事は覆せない事実であった。……つまり猫のタイプではないという事だ。
「おー、ジョーちゃん遅刻やでぇ。サボるんなら事前に連絡してくれへんと」
パッと片手を挙げて、ニコリと笑った猫は城嶋におよそ注意とは呼べない声をかけた。
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