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町までは、もう一息。
疲れた僕は木陰でウトウト……
そして夢から覚めると、目の前に誰かいた。
『!!!?』
「あっ、ごめん。起こしちゃった?」
キラキラと光る黒髪の女の子は、僕を見て満面の笑みを浮かべている。
「君、ちっちゃくて可愛いね。弟と妹に見せたいな……ねえ、ちょっとだけ私の家に来ない?」
僕の頭を撫でながら、黒髪の子はそう言った。
「めう!」
僕は返事をして肩に乗る。
「いいの? じゃあ行きましょ!」
黒髪の子は町に向かって走り出した。
「ふふふっ……あの子たち、喜ぶぞ」
そうか。この子が急いでいるのは、早く可愛い僕を見せて、兄弟を喜ばせたいんだな。
「こんな珍しいタヌキ、驚くに決まってる!」
……
……
僕はちょっとだけ、ムッとした。
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