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「あいつ等も頑張っちゃ居るんだがな……まあ石の上にも三年ってやつだわな」
主人は、ご飯を食べている私の頭を撫でながら色々な話をする。 仕事の若い衆が未熟である事、しかし骨のある者達らしく主人もその成長を楽しみにしている事。 まあ、室外機の上に万年居る私にしてみればご飯が食べられるならそれで良いのだが、食事の礼に話くらいは聞いていてやろうと主人の話に毎日付き合って居た。
しかしその中の話によると最近、若い衆の内の一人と上手く行っていないらしい。 時折外に居ても聞こえてくる大きな声は、その者との言い合いの声だろうか。 猛獣の咆哮にしか思えないのだがな。
私のご飯係りには若い衆の中からも時折姿を見せる事があったが、その内の一人が以前、ため息をついて「あの二人、考え方は似てるんだけどなあ……」と言っていたので恐らく正解だろう。 その咆哮が聞こえた日のご飯は、主人の心が安定しないからかいつもよりご飯の質が落ちるのは、私にとっても由々しき問題であった。
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