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「どうした、柄にも無く悩んでいるような顔をして。 変なものでも食べたか?」
私がその二人の事を考えながら室外機の上で温まっていると、隣の縄張りの黒猫がやって来た。 確かこいつは、口調こそ良いとは言えないが義理と情には厚く、野良猫らしからぬ、心に一本筋の通った猫であったはずだ。
「なに、猫にだって悩むときくらいはある。 まあ、あの顔で変なものを出しては来たら洒落にならんな……」
「顔……なるほど、お前の所のあの厳つい顔のおっさんの事か。 どれ、話くらいなら聞いてやるぞ」
主人の顔は、近隣に知れ渡るほどに厳つい顔であったか。
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