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結果は開かなかった。ヤシの実は球体である。つまり何処を叩けど実に石が突き刺さらない。
手のひらには石で出来た傷。手の甲にはヤシの実で何度も打ちつけた痣が滲んでいた。
「、、、、、、ひっぐ、、、、、、、もう無理だ、、、、、、」
誰が聞くでもなく声を殺して泣いた。ただもう泣くしか出来なかった。食料も無ければ飲み物も無い。
このまま何もせずに自分は死んで行くのだという未来(ぜつぼう)がチラついていた。
海に打ち付ける波しぶきを見ながら、明日の朝まで生きられるのだろうかと不安な気持ちで一杯であった。
動けば更に腹が減る。水分が足りない所為か呆けたまま思考を止めて海を眺めた。
半日近く眺め、水しぶきが強く打ち付けると霧の様になり、夕日を反射させた。
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