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リビングのドアを蹴破る様な勢いで開けながら怒鳴る。
「うるっさいんじゃぁああああ!!!!」
「やっと出てきた!姉貴おめでとう」
「姉さんおめでとう!!」
パンパーン!!
と、クラッカーが大きな音を立てて鳴る。
「はっ…?」
下の弟の友人がどんちゃん騒ぎをしているのかと思ったら。
「現代(いま)って便利だよねー。アプリでお祭り騒ぎとかの音声があるんだから」
上の弟がスマホを見せた。
「自分の誕生日にまで引きこもってんなよな。その…ほんとに悪かったよ」
下の弟が目を逸らせながら謝った。
「た、誕生日…」
すっかり忘れていた。
「ほら、姉貴が笑わないと外が暗いんだよ」
「月の光じゃ限界があるからね。姉さん、笑って?」
テーブルの上にはケーキやパーティ用のお菓子、お酒。
これを子の2人が用意したんだろうか。
ケーキを買いに行く下の弟を想像して、笑いが込み上げてきた。
「ふ…っ、あははは!!わかったわよ、もういいわ。その代り、次は本当にないからね!!」
「ああ、分かったよ」
「さ、パーティをしよう!!」
暗かった外が、明るんできた。
「やっぱり太陽は姉さんにしか導けないね」
天照の引きこもりでした。
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