1-月とコンビニ

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大統領 みな、さん! 間に合、いました。居住空間を一部確、保。第一次移住、計画を実行に写し、ます。 男 この時、数千人が移住したらしい。 女 楽しい、です、ね。 男 この夜は、満月だった。 女 なにかおさがしですか。 男 その後は毎月、数千人ずつ移住していったよ。 ●男は言いながら次の雑誌を手に取り、開く。 大統領 国民の皆さん、残念なお知らせです。計画は失敗。第一次移住計画は中止。中止とします。 男 終わりの始まりだった。 女 楽しい、です、ね。 男 既に数億人が移住した後のこと。なにがあったのか、なぜ中止になったのか。 ●男はまた次の雑誌を手に取る。 女 お話。素敵です。 大統領 申し訳ございません。全国民の皆さん、地球上の皆さん、申し訳ございません。 男 大統領の最後のホログラムデータだよ。この時期は、雨が多かった。 女 少々、気がめいりますね。 男 少々、か。いや、このときの気分は絶望と言っても良いだろうね。 女 休憩をしていかれてくださいな。 男 ああ、いいんだよ。続きがある。 大統領 これより、数日の内に月は消滅するでしょう。移住計画は全て失敗。我々に残された道は閉ざされました。 男 ビー。 女 はい、店長。 男 …ビー。 女 もう、何ですか。 男 人間は増えすぎていたんだ。それは地球に収まらなくなるほどに。 女 満員です。 男 あぁ。 女 ふふ、楽しい、です、ね。 男 ビー。 女 はい、店長。 男 知ってるか。 女 すみません。 男 月がないと、生き物は生きられないんだ。 大統領 既に鳥類の50%の絶滅を確認。原因不明の自殺者は30万人を超え、現在対策中となっています。 男 …ビー 女 もう、何ですか。 男 人間は後どのくらい生きているのだろうな。 女 なにかおさがしですか。 男 マンハッタン。 女 マンハッタンへは、モックバァクステイションより、おさがしです。 男 マンハッタンで、家族と暮らしていた。 女 モックバァクステイションへは、はい、エジソン社製N+207型より、へようこそ。 男 ふふ、歩きでは遠いな。 女 地下鉄がありますよ。 男 動かないんだ。 女 もう店長、地下鉄がお休みの日があるなんて聞いたことがないですよ。 男 寂しいな。 女 本当ですか。 大統領 これで最後となるでしょう。皆さん、この危機を乗り越え、生き抜きましょう。種の存続を、生命の存続を。 ●大統領ハケ 男 あんた
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