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「フンギャぁぁぁぁぁ」
相変わらずイヤな夢だった。、アノ男の衝撃は、数百年立つと、いうのに脳裏から離れない。この身体に憑依して、はや3ヶ月。身体の持ち主、千歳と一心同体になり馴染み始めていたが、何かの拍子に人格が入れ替わる。今日はどうやら、猫又、お玉の方らしい。
「うっぷ!?、ヤバいわ」
どうやら、昨夜は飲み過ぎたようだ、千歳のお玉は、トイレでしこたま嘔吐すると、スッキリした顔で出てきた。
「今日はアタイが主体か、悪いわね千歳」
千歳のお玉はTシャツとランニングパンツを脱ぎ捨てると素っ裸になってユニットバスに飛び込む。
「さぁて、今日の予定は、どんなもんかな?」
お玉は、千歳から預かったスマホを指先で弄り、今日の予定を開く。
「あちゃ!!、また、神楽が入ってるし、ナニ、ナニ、あやつとデートか……」
あやつ、とは平八郎の事だが、デートなどと言う、甘いモノではない、千歳とお玉が一緒になった事で自らが、もののけを呼び込む寄り代になってしまった為、彼女達自身が行く先々でトラブルが続出するのだ。
尻拭いは、当然、平八郎がする事になってしまう。身体を張って、2人の後始末をする姿は涙モノだが、お玉は、この身体になってから彼がちっとも自分を求めて来ない事を不満に思っていたのだ。
「あやつめ、千歳と一緒になってから“まぐあい“を避けよって……」
お玉は、憤懣やるかたないといった表情でぶつぶつと愚痴っているのは、平八郎の素っ気なさの中に遠慮を感じているからだ。
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