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第二話 眠れ
目を開けると、そこには『 近所の駐車場 』が見えた。
痣だらけの肩、ボロボロの上着、真夏なのに、ガタガタ震えている私に廃棄処分の野菜ジュースを頭から掛けたのは、隼人だった。
私が泣き笑いしていると、ベタベタの私を抱き締めて泣いてくれた。
「オレ、頭良いだろ? 冴えてねえ?」
「うん。うん。 ありがとう」
スーパーのバイト帰りに、何を恨まれたか、暴漢に襲われた。
服を破られ、2.3発殴られ、写真を撮られている所を一緒にバイトあがりだった隼人が通りかかって助け出された。
カメラは、パチンコ屋の息子の貴志さんが、犯人から取り戻して来てくれたけど、親に知られるの嫌で泣いてたら、まだ空いてたスーパーの倉庫に戻って隼人は私に知恵を絞って、そうしてくれたんだ。
『この前、事務所に親が自分のバイト代を取りに来たのを黙っててくれた礼だから気にすんな』って言って。
お互い碌な事がないねって笑い合って、付き合ったけど、結局卒業前に別れたね、私達。
父の葬儀の後、遠方で暮らす私に『帰って来いよ。一緒に住もう』って言ってくれたの嬉しかったよ。
お父さんが死んだ時、言葉が途中で喋れなくなった妹に変わって電話口に隼人が出た時、びっくりしたんだから。
だから、また夢に見たのかな。
忘れないよ。
せっかく、また一緒に街で暮らし始めたけどすぐに、隼人の元カノが妊娠して姿を現した時は、つくづく隼人に縁がないって、思ったけどさ。
隼人と出逢えて本当に良かった。
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