8人が本棚に入れています
本棚に追加
第三話 叫べ
目を開けると、そこには『 デパートの屋上 』 の風景が広がっていた。
小さな繁華街のデパートの屋上。
レストランテラス。
お洒落な格好の両親、同じ位お洒落なドレスを着た私。
無邪気に戯れていた。
そんな思い出はない。
あるのは、夢で見た思い出だけ。
最初、その夢を見た時、起きたらしばらく涙が止まらなかったのを覚えている。
いつも仕事に追われる両親祖父母、休みの日は千円渡され、祖父母宅の叔母に預けられた。
叔母に一度だけ、私と弟妹の3人に昼食とお菓子を買ったら『千円じゃ足りないんだよ』って言われた事が忘れられない。
現実は最悪でも、最高の夢を今はみたい。
夢に見るなら、とびきり良い夢を見たい。
怖くて、辛くて、苦しくて、悔しい今くらい。
最初のコメントを投稿しよう!