第三話 叫べ

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何言ってんの? 何で、そんなの、見ず知らずのこいつが知ってんの? 犯人? 正気じゃない。 大体、何で今更、今なんだ? 理解出来ない。 「俺達、罰が当たったと思っているだろ! 自分ばっか、不幸な面済んじゃねえっ!」 そう言って突き飛ばされて、足元に駐車止めのブロックがあるのに気付かず、足を取られて有り得ない角度で転倒した。 肩のあたりから塀にぶつかって、左腕から地面に着地して、アスファルトと路肩の凹凸で腕を挟んだ。 グギッと言う嫌な音が聞こえた気がした。 「キャァ―――――」 ちょっと、大袈裟過ぎるだろっ!って大声で叫んでいた。 自分の住む部屋のほぼ下で、程なく同居の沙良がベランダから声をかけた。 「はああ! 何これ! ちょっと、はあ!」 沙良が慌てて外に飛び出して来て、私を抱き起してくれた。 「け、警察!」 壁で打った額と変な態勢で挟み込んだ腕が痛かった。 地面に蹲ると、頬に紙切れが当たった。 街灯の灯りの下、それが何の写真だったがすぐ分かった。 あの男が言った事は本当だった。 真っ暗な中、カメラのフラッシュで中央だけが浮き出た写真、昔の私が顔を歪めていた。 服を破れて剥き出しの肩、拳が当たって赤くなった額。 隼人に助け出されるまでの、ほんの僅かな時間の事。 「……駄目。お願い、やめて」 「何、言ってんの? 何、これ……」 「胎教に悪いから、見ないで……」 私は必死になって4.5枚散らばっていた写真をつかみ取って、部屋に飛び込んだ。
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