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何言ってんの?
何で、そんなの、見ず知らずのこいつが知ってんの?
犯人?
正気じゃない。
大体、何で今更、今なんだ?
理解出来ない。
「俺達、罰が当たったと思っているだろ! 自分ばっか、不幸な面済んじゃねえっ!」
そう言って突き飛ばされて、足元に駐車止めのブロックがあるのに気付かず、足を取られて有り得ない角度で転倒した。
肩のあたりから塀にぶつかって、左腕から地面に着地して、アスファルトと路肩の凹凸で腕を挟んだ。
グギッと言う嫌な音が聞こえた気がした。
「キャァ―――――」
ちょっと、大袈裟過ぎるだろっ!って大声で叫んでいた。
自分の住む部屋のほぼ下で、程なく同居の沙良がベランダから声をかけた。
「はああ! 何これ! ちょっと、はあ!」
沙良が慌てて外に飛び出して来て、私を抱き起してくれた。
「け、警察!」
壁で打った額と変な態勢で挟み込んだ腕が痛かった。
地面に蹲ると、頬に紙切れが当たった。
街灯の灯りの下、それが何の写真だったがすぐ分かった。
あの男が言った事は本当だった。
真っ暗な中、カメラのフラッシュで中央だけが浮き出た写真、昔の私が顔を歪めていた。
服を破れて剥き出しの肩、拳が当たって赤くなった額。
隼人に助け出されるまでの、ほんの僅かな時間の事。
「……駄目。お願い、やめて」
「何、言ってんの? 何、これ……」
「胎教に悪いから、見ないで……」
私は必死になって4.5枚散らばっていた写真をつかみ取って、部屋に飛び込んだ。
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