第三話 叫べ

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2LDKで、自室には内鍵を付けていた。 でも、リビングから続きになっていた私の部屋のベランダの窓を割って、沙良は無理矢理部屋に入って来た。 「……眠れないから、お願いやめて。……普通じゃないのは、分かってる。 家に泥棒に入られて学校鞄盗まれたり、暴漢にあったり、決まってた進学辞めて就職したり、今もずっと、大変なの。分っているから」 「……もう、私実家帰るよ。ここあげる。私といたら、迷惑かけそう」 「嫌。……一人は嫌なのは、私も一緒。一人だけ家族、後は他人の実家の居心地の悪さ分かる?籍も入れてない男に私より年上の男の息子が二人住んでいるの。 それでも、我慢して住んでたけどさ……。何の罰ゲームだよ?って……」 「……」 「私さ……。母親みたいな人間にはならない。……昔から、普通の家庭に憧れてた。結局、普通にはしてあげられないけど、絶対、居場所のなくなる様な生き方はしないから」 沙良は警察は呼ばなかった。 ガラスの割れた部屋を出て、リビングで朝まで過ごすうちに、顔色の悪い私を不審に思ってすぐ、私の左腕がコントみたいに赤く腫れ上がっているのに気付いて、激怒した。 タクシーを呼びつけて、病院に連れて行ってくれた。 沙良は未婚だが、勤めている会社の理解を得て、産休育児休暇制度を利用し、育休明けはまた働くと言うので、ずっと一緒に住もうと言った。 結局、お産までしか、私達は同居しなかったのだが……。
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