夕日の下で咲く

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 淡い陽光を受ける身体でぐーっと伸びをする。もうしばらく眠ってもいいかな、と思いながら、不意に横を向いた、そのときだった。  ――っ!?  思わず身体がびくっと弾んだ。こんなにも分かりやすく驚いたのは、もしかするとこれが初めてかもしれない、と思えるほどに。  赤色の靴。健康的に焼けた小麦色の肌に、黄色のワンピース。ちょうど肩に届くか届かないかくらいの二つ結いの髪が風になびくその姿は、おそらく小学校の低学年あたりだろうか。  ――えっ……  いつからいたんだ。突如現れた女の子に、ぼくは戸惑いを隠せない。おそらくぼくが眠っている間にここに来たのだろう。起きてからもずっと心地良い陽光に微睡んでいたから、まったく気がつかなかった。  彼女はこちらにはまだ目を向けず、緑の草原に足を投げ出し、自分のつま先を見つめながらその足をゆらゆらと左右に揺らしている。  固まった表情で見つめ続けるぼくの視線にようやく勘づいたのか、少女はちらっとこちらに目を向けた。そしてぼくと目があうなり、パッと笑顔を見せた。 「あっ、起きた?」  ――えっ、だれ……?  ここは鳥などの動物こそ来ることはあったが、今まで人が来たことはなかった。だからこそ、ここはぼくにとって欠かせない神聖な憩いの場となっていたのだ。  うるさくて汚らわしくて、くつろぎの欠片も堪能できない街中は、暑苦しいうえに危険も多い。行き交う人々、走り回る車体。近代化に伴って、多くの建物が立ち並ぶようにもなった。  昔は公園や遊び場だって、今よりもたくさんあったのだと、知り合いだったお年寄りから聞いたこともある。そんな話を聞いていると、今の街は見かけがどれだけ良くても、ぼくにとっては単なる息苦しいものでしかないように思えた。
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