変わらない愛②

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「せめて伝言だけでもお願いします。 楢崎怜斗の友達だって言ってくれればそれだけで伝わると思…」 「何、怜斗の友達?」 突然背後から男の声が聞こえた。 後ろを振り向くと、そこにはオペ着の上に白衣を羽織るといったアンバランスな男が立っていた。 「せ、先生!」 突然の登場に、隣にいたクラークの女性が目を丸くしている。 先生…? てことは、もしかして…。 「君たちの声、診察室の中まで筒抜けだったよ。 何の騒ぎかと思って来てみたら」 「すみません…」 クラークの女性が頭を下げる隣で、俺は状況を掴めずにいた。 「いや、全然怒っていないからいいよ」 無表情だけど、口調は優しい。 「あの、先生…外来の方は…」 「午前外来は初診の患者さんだからね。俺は他の先生と交代。 まぁ、たった今緊急カテに呼ばれてしまっただけなんだけど」 急遽オペや検査に入ることは日常茶飯事みたいだ。 だから白衣の下にオペ着なのか。 時間のない外科医にとって珍しいことではないのかもしれない。
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