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「…お前、第一声それかよ。
久しぶりだっていうのに」
生気のない目。
高校時代の面影は、もう何一つ残っていなかった。
「お前、ちゃんと笑えって…」
「…普通に笑ってるって」
またしても、怜斗は自嘲気味に笑った。
怜斗は渡米してから一度も日本に帰国しなかった。
高校の同窓会、毎日行動を共にした仲間との集まり。
そして、記念すべき二十歳の成人式の会場にも、そこに怜斗の姿はなかった。
ふと、店員が注文を尋ねてきた。
ぎこちない空気をどうにかしたかったから、ちょうどよかったのかもしれない。
適当に飲み物を頼むと、続けて怜斗も注文を加えた。
その様子をぼんやりと眺めながら、過去の記憶をたどるように怜斗のいないこの四年間を思い出していた。
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