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地面に身体を預けているせいか、枯れた草がひんやりしているのがわかる。
腕にちくりとした感触が刺さって、俺は現実に引き戻されるように目を開けたのだけれど、でもまたすぐに閉じてしまった。
『じゃ、そろそろ行くわ。
いつでも遊びに来いよ』
怜斗と会った最後の日。
上京する当日、怜斗の見送りをするためにみんなで空港へ駆けつけた時のことだ。
怜斗は来なくていいと遠慮していたけど、サプライズだと言って会いに来た俺達を見て、まんざらでもないような笑顔を浮かべていた。
『ああ、必ず行くわ。
たまには連絡しろよ』
『もちろん。
…みんな、ありがとうな』
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