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「怜斗、健くんたちといる時本当に楽しそうだった。
私が写真を撮ろうとカメラを向けたら、すぐに輪に入って行ったから。
過去の怜斗なら絶対に拒否していたのに、健くんたちだけは違ったわ。
その姿を見た時、本当の友達を見つけられたんだって、嬉しかった」
菜々子さんの言葉に胸が強く締めつけられた。
「……怜斗のことを思って会いにきてくれてありがとう」
唇を噛みしめて、首を横に振った。
「あとね、これ…」
菜々子さんは続けて一枚の写真を見せた。
「それは…」
菜々子さんの手から受け取った写真には、互いの頬を密着させて寄り添う怜斗と白河さんがいた。
「怜斗の机の中から出てきたの。
忘れていったのか、それとも、あえて置いていったのかはわからないけど…」
幸せ溢れる二人の笑顔。
高校時代の二人が今でも鮮明に、脳裏にキラキラと輝いている。
「ねぇ、見て。この写真の怜斗、すごく幸せそうな顔してる…。
きっと、隣の彼女のことが大好きだったんだろうな…」
菜々子さんは写真を眺めて、静かにつぶやいた。
「怜斗は…この女の子と付き合ってたんだよね…?」
「…はい」
今もそうであることを、ただ、願う。
「一度だけね、彼女がいるから紹介したいって言われたことがあったの。
結局、実現はできなかったけど……でも、会ってみたかったな…。その女の子に…」
菜々子さんは寂しそうに目を伏せて笑った。
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