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「俺が怜斗を探し続けます」
決意を込めて強く言った。
ゆっくり顔を上げた菜々子さんと再び視線が重なる。
「怜斗をよく知る人物が身近にいないでしょうか?
俺だけの力では、どうしても…」
自分なりにあらゆる手を尽くしてきた。
だけど、それでも有効な情報は手に入らなくて、同じ結果が返ってくる度にため息がこぼれる、それの繰り返しで。
俺は怜斗の何を知っているつもりでいたのだろう。
「怜斗をよく知る人物…当てはまるとしたら隆二くんかな…」
「隆二くん…?」
「うん。怜斗と一回り離れていてね、昔マンションに住んでいた頃、その隣が隆二くん宅だったの。
家族ぐるみの付き合いで私と旦那が仕事で忙しい時は隆二くんに面倒見てもらうことが多くて…。
怜斗のことを本当の弟のようにかわいがってくれたわ」
怜斗に兄のように慕う人がいることは知らなかった。
「前は帰国するたびに隆二くんと連絡を取っていたみたいだけど、今はどうかわからないの…。
この数年の間で、隆二くんもいろいろあったから…」
「…その、隆二さんという方に会えますか?
連絡先を知っていたら教えて欲しいです」
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