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桜井環奈は仕事に対して真摯だった。
一見気が弱そうだが、受け答えはしっかりしているし、自分の考えをきちんと主張することもできる。
たまたま彼女のデスクを訪れた時、ちらっと見えたA4サイズのノート。
普段から業務を覚えるために俺が指導した内容を早書きでメモするのだが、そのノートには綺麗な字で事細かにまとめており、彼女の努力が見て取れた。
「お前と並ぶとさらに目立つよな。
あの子、早速女子社員から目の敵にされてるらしいよ」
「はっ?」
思わず箸を持つ手が止まる。
「俺見ちゃったもん。
『瀬川さんのアシスタントとか生意気なんだよ』って言われてるとこ」
何それ。初耳だ。
「あの子もあの子だよ。
何も答えないし完全無視だから逆にそれが女子たちの反感を買ってしまってさ。
なんつーか…女子って怖い」
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