変わらない愛③

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多事多端な新人時代を乗り越えると、ある程度の仕事を任されるようになった。 月日が流れるのはあっという間で、上京して三年も経てば都心の路線図を見なくてもスムーズに電車に乗ることができる。 地元の方言や訛りも完全に抜けて標準語を話せるようになった。 しかしまだ首都特有の人混みには慣れないが。 営業マンとして仕事へのやりがいと楽しさを感じ始めるようになった入社五年目の五月に差し掛かった頃、出社してすぐデスクに現れた課長に呼び止められた。 「瀬川くん、今ちょっといいかな?」 「課長…おはようございます」 課長の隣には見知らぬ女性。 不思議に思いながらちらりと彼女を見て再び課長へ目を向けると、「おはよう」とワンテンポ遅れた挨拶が返ってくる。 マイペース課長は朝から爽やかたっぷりの笑顔で続けた。
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