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数歩遅れた距離から彼女の背中を見つめる。
俺の贔屓目も入っているかもしれないけれど、今まで出会った女性の中で一番綺麗だと思う。
ぴったりとした服装だからか、女性らしい柔らかなボディラインが一際目立っているように見える。
彼女にとてもよく似合っていたけれど、やっぱり戸惑ってしまう。
幼かった少女が急に大人の女性へ変化したような瞬間を見ているような気がして。
目のやり場に困ると思うのは俺の勝手な解釈で、彼女が特別な存在だからこそなおさらそう思うのだろう。
とにかく、他の男の視線が気になって気が気じゃなかった。
なんて小さい男なんだ俺は。
自分から提案しておいて勝手だなと思う。
そうだ、俺は小さい。
表では笑顔を装っているけれど、彼女限定で内心は独占欲の塊で真っ黒なのだ。
そして開き直るあたりが思春期真最中の中学生男子と変わらないな、と記憶よりもすっかり大人びた彼女の背に見惚れつつ、初めて発覚した自分の心の狭さに苦笑した。
家まで送る手段を電車ではなく車に変えた。
目指していた新宿駅を通り過ぎ、そのままマンションの駐車場へ直行した理由は言うまでもないと思う。
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