変わらない愛⑥

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彼女は普段通りに振る舞っているのだろうけど、今日はやけに口数が多いこと、そして時折見せる強張った表情、やや不自然な歩き方を見ていると極度に緊張していることは明け透けだった。 初めての大口商談なら誰だって緊張するし、不安で仕方がないのだろう。 「きっと恵みの雨になるよ。大丈夫」 根拠もなく自信に溢れていた。 それが伝わったのか、強く頷くと彼女の瞳の色が変わった。 俺たちはその場にいた誰よりも熱い闘志に満ちていたと思う。 寝る間を惜しんで取り組んだ広告案。 チームで動いていくうちに自然と構築された信頼関係。 何より、彼女との距離は以前と比べさらに縮まった。 今まで集結された中でも最高のチームだったと思う。 だから、この大口商談を勝ち取った時は心の底からみんなで喜び合った。
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