変わらない愛⑥

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時刻は22時を過ぎたあたりで打ち上げは終了を迎えた。 降りしきる雨の影響で交通機関が乱れているということもあり、早めのお開きとなったのだ。 「げっ。さっきの豪雨のせいでJRにストップがかかったっぽい」 制作部の同期がSNSから得た情報を発信した。 その場にどよめきが起こる。 チームメンバーの半数は電車通勤を占めるため、他人事ではないのだ。 「えっ、マジ? じゃあ駅に向かっても帰れないってこと? みんな足止め食ってんの?」 媒体部の先輩が心配そうに投げかけた。 「いや、それは大丈夫みたいです。 ついさっき運転再開したみたいなので。 だけど駅は混雑してるそうですね。 タクシーも長蛇の列で捕まらないらしいし」 げぇ、と周囲が嘆く。 「俺、みんな送りますよ。車で来てるし」 さらりと申し出ると、 「いや、健はいいよ。俺も車だし、酒も飲んでないから先輩達は俺が送り届けるよ」 同期はそう言うと、椅子に寄りかかり泥酔しきった制作部の先輩と隣でSNSの情報を集めるのに必死な媒体部の先輩を指差した。
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