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すると今度は俺にこっそり耳打ちした。
「桜井さんはお前に頼むよ。
もたもたしていないで早く行動に移せよな」
ぎょっと目を見張る。
「なんでそれを…」
「お前バレバレだから。
気づいていないのは本人くらいじゃない?」
マジか、と額に手を当てた。
どうやら俺の気持ちは丸わかりだったらしい。
同期に背中を押され、心配そうに外の景色を眺める彼女に意を決し話しかけた。
「桜井さん、この後…」
その時、スマホの振動がスーツの内ポケットから響いた。
ビクッと飛び上がった。
会話が途中で遮られてしまい、咄嗟に頭がフリーズする。
「…電話、瀬川さんですよね?
遠慮せず出て下さいね」
「…ごめんね。ちょっとだけいい?」
笑顔で促す彼女を後ろにガクッと肩を落としたが、気を取り直してすぐに切り替える。
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