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「…本当にごめんね」
「気に病まないで下さい。
瀬川さんはいつも気に掛けてくださるから…その気持ちだけで十分です。
それに…何かあったんですよね?
早く行って下さい。きっと瀬川さんのこと待っているはずです」
「…ありがとう。心配だから帰宅したら一度連絡して。
夜も遅いし物騒だから帰る時は本当に気を付けて!」
振り向き際、声を大にして叫ぶ。
念のため、出口辺りで一服しようと外へ向かう同期に彼女が無事に帰れるよう託し、店を出た。
急いで車に乗り込むと怜斗が待つ駅まで一直線に目指した。
ハンドルを持つ手に力が入る。
フロントガラスは頻繁に曇り、ワイパーは繰り返し左右に動きながら空から落ちる水滴を弾いてく。
無数の雫を誰も止めることはできない。
時折静かになったと思えば、また強さは増す。
それくらい不安定な雨だった。
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