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「おい怜斗! 大丈夫か!?」
小さな白河さんを外敵から守るように抱き締めてうずくまる怜斗の肩を激しく揺らす。
「…健」
怜斗は焦点の定まらない目を向けて、かすかに言った。
そしてぎゅっと、白河さんを包み込む手に力を込めた。
「お前濡れてんじゃねぇか…。
ほら、これ使えって」
車から持ってきた予備のタオルを渡し、せめて髪だけでもと、乾かすように促すが怜斗はそれに応じなかった。
「俺はいいから葉瑠に。熱があるんだ。
さっきから凍えるように震えている。
このままじゃ体調は悪化するだけだ。
早くどうにかしないと…」
わなわなと唇を震わせて言った。
怜斗の心が震えていた。
「何があったんだよ…」
茫然と訊く。
目の前の光景が信じられなかった。
「全部俺が悪い。俺が葉瑠をこんな目に……。
俺がいなければ…俺が…」
こんなにも狼狽える怜斗を見たのは初めてだった。
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