変わらない愛⑥

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約束の時間は午後14時。 場所は駅前の小さなカフェ。 俺はそこで懐かしいあの人と再会していた。 「久しぶりだね」 正面に座る彼女は柔らかい笑顔を見せて言った。 平野美菜。 彼女とこうして会うのは大学に入る前に食事に出かけたとき以来だ。 告白されたあの日を境に連絡は一度も取っていなかった。 「…久しぶり。この前は連絡してごめんな。 突然で驚いただろ?」 「ううん、大丈夫。 そりゃびっくりしなかったって言うと嘘になるけど、何かあったのかなって…。 そんな気がしたから」 「…結婚したこと、前に地元に帰ったとき小耳に挟んだよ。 こうやって面と向かって言うのは初めてだな。本当におめでとう」 「…ありがとう。でも、瀬川に言われると、なんだか複雑だなあ」 平野は少し照れながらもどこか嬉しそうだ。 その表情は今まで見た中で一番輝いていた。
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