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いつからそこにいたのかはわからないが、俺たちのやり取りをほとんど目撃していたのは間違いないだろう。
すると彼女は瞬く間に囲まれてしまった。
目をキラキラ輝かせながら質問攻めをする女子の集団。
次のターゲットは彼女に切り替わったらしい。
見る限りいびりとかではなく、俺とのなれそめや昨夜のできごとを事細かく訊かれているだけで、キャーッと甲高い声が飛び交っている。
まるで女子高生が恋バナをするような盛り上がりを見せていた。
結局、それからしばらく経っても俺たちの話題が尽きることはなかった。
おまけに朝礼では部長に「瀬川くん、昨日はいいものを見せてくれてありがとう。若いっていいよねぇ」とにっこり笑顔で投げかけられ、しまいには「おめでとう!」と祝福の言葉までいただいた。
俺の公開告白はすぐに広まり、社員とすれ違うたびに注目され…。
身の置き場のない会社生活はもうしばらく続いたのであった。
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