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環奈と結ばれたその一週間後、俺は馴染みのコーヒー店を訪れていた。
ここは怜斗と再会した場所。
そして、白河さんを見送った思い出の場所でもある。
「ごめんな。忙しいのに突然呼び出して」
向かい合わせに座る怜斗が申し訳なさそうに言った。
その隣には怜斗が愛してやまない大切な婚約者――白河さんもいる。
彼女の左手の薬指には大きなダイヤがきらりと輝いている。
「全然。そろそろ怜斗から連絡がくるだろうなって思ってたから」
何年の付き合いだよ、と訴えるように口角を上げると怜斗もつられて綻ぶ。
怜斗はすぐに真剣な表情に切り替えた。
「今日呼び出したのは…健に一番に報告したいことがあったからなんだ」
「うん」
そんな畏まらなくても、怜斗の言いたいことはわかっているけどな。
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