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帰りの電車ですし詰めにされながら、上を向いて必死に酸素を求めた。
上でも下でも同じことだとは思うけれど、ここのところの出来事を考えれば、目線だけは上げておきたかった。
……発想そのものが、もうなんらかの証明なわけだけれど。
ビオトープの水質浄化がうまくいかないときの魚みたいに、上を向いて半開きの口でぱくぱくするような自分なんて、なりたかったものじゃない。
というか、こんな思いをすることがいやでいやでたまらない。
こんなふうになりたくなかったから、あたしはあたしを“よいもの”として演出してきたって言うのに。
割に合わないと思った瞬間、胃が痛くなった。
こんな気分になった日には、いつも思う。
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