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僕の部署に3年遅れで入ってきた後輩は、仕事帰りにいつも結婚相談所にいっている。
どうしていつもいくのだろう。
彼はすごくいい奴だ。他人が助かるなら自分の犠牲に気づかない。
僕が紹介した女性と彼が恋愛関係になった時に、彼は連続して月給をなくしていることがあった。彼は恋人の母親のいわれるままに金を送金していた。馬鹿だ。
彼は見返りをほっしない。だからといって意志のないタイプでもない。
ただ自分自身を知っている。それだけでいることが、普通とてもむずかしい。
彼の自己不信が彼自身の存在価値を分からなくさせている。それは彼から聞いたこと。
そのせいで、彼の愛情がどこにあってどこに向かっていくのか、全然分からない。女性からきちんと愛情を注がれる間はもれなくその女性に夢中になっている。
他人ならわりと平気なことも器用にこなそうとしない彼は事態を困難なことにしてしまう。かなり面倒くさい。
そんな、はっきりいってぱっとしない彼の独特な存在感に僕はすぐに興味を持った。
仕事は、できるというより持久力を持ってこなしている。
女友達のほとんどいない僕が、なぜか必死になって誰かいい女性を彼に紹介したいと思ったのは、彼があきらかに一人で生きていけるタイプにみえないから。決して世話ずきな性質でない僕がそういうことでもしようと思ったのは、誰かいないと彼の持久力はとんでもなく残酷な結果を招く気がしたからだ。
厄介なことになったのは僕でなくて常に彼だった。
彼には、他にもふしぎなことがあった。
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