:もうひとつの黄色いチューリップ

2/2
前へ
/2ページ
次へ
僕の部署に3年遅れで入ってきた後輩は、とてつもなくモテない。 なんというか、ヤルキがない。意思がはたらいているようだけれど考えていることがよく分からない。 例えばどうして彼は黄色のチューリップを恋人に贈るのだろう。僕は彼から聞いた、黄色のチューリップの花言葉、hopeless love. かなわない恋。 彼はいう、とにかくすきだからそれを贈る。それに花以外に適当な贈り物を知らないんだ。 僕はピンク色のチューリップを家族に贈ることが春ごとの楽しみだから、贈る花の種類が同じことに僕はすごく驚き、うれしかった。 チューリップのない季節に贈り物をするとき彼は、恋人に、絶対にまちがったものを贈らないように具体的にほしいものを聞き出して贈るという。 それはつまらなくないかと問いたら、自分自身で買うよりきっと大切にするだろうと彼は答えた。 なるほど。物凄くほしいものを自分自身で購入するより、妻やこども達に贈られた方が貴重に思うのかもしれない。 彼が黄色のチューリップを贈るのは、彼が彼の犠牲をわきまえて何かをするように、黄色のチューリップの花言葉をわきまえて恋人に贈る。 彼は何もわきまえていないようにふる舞っている。きっと無意識に、彼はわきまえている。 なぜ彼は結婚相談所にいくのだろう。 僕は願う。次に彼は紫色のチューリップを贈る相手にきっと出会う。 妻から聞いた。紫色のチューリップの花言葉は、eternal love: 不滅の愛。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加